多くの方は、こんな経過で来院されます。ハーモニカ(HArmonyCa/ハイブリッド注入剤。楽器のハーモニカとは無関係です)を打って仕上がりに満足していたのに、数か月後、顔のいくつかの場所に硬い小さなしこりを触れるようになった。打ったクリニックに戻ると、返ってくる答えはたいてい「まれですよ、少しマッサージすれば大丈夫」。
先に正直なところからお話しします。ハーモニカの発表されている結節率は、確かに低いです。これははっきり言っておくべきことです。問題は「しこりができやすい」ことではありません。問題は、これがハイブリッド材料だということ、そして一度しこりができてしまうと、その対処の理屈が単純なヒアルロン酸(HA)とはまったく違うことです。「中に HA が入っているから溶かせる」と思いがちですが、それは半分しか合っていません。
ハーモニカとは何か、なぜ「デュアル作用」なのか
ハーモニカは Allergan のハイブリッド注入剤で、二つのものが混ざっています。担体となるのは架橋ヒアルロン酸ゲル(濃度 20 mg/mL)で、その中に CaHA のマイクロスフィア(レディエッセと同じ成分、直径およそ 25〜45 マイクロメートル)が懸濁し、さらに 0.3% のリドカインが加えられています。重量比では CaHA マイクロスフィアが約 55.7% を占めます——この数字は意外に思われるかもしれません。つまり「溶かせる側」のほうが、実は半分に満たないということです。
売りは「一回の注射で二つの仕事」です。HA がその場の充填とリフトを担当するので、当日から変化がわかります。CaHA のマイクロスフィアはご自身のコラーゲンをゆっくり誘導し、その後の数か月から一〜二年の支えをつくります。設計そのものは賢いもので、メーカーはこの仕組みを DART(デュアル作用技術)と呼んでいます。
そして、しこり問題の根もまさにそこにあります。コラーゲンを誘導するものは、本質的に「異物に対して体に反応してもらう」ことを求めています。多くの方はちょうどよく反応します。一部の方は反応しすぎて、コラーゲンが過剰に、しかも不均一に増え、それが結節になります。
重要なポイント: コラーゲンを誘導する材料には、反応が過剰になってしこりに変わる可能性が必ずあります。ハーモニカの結節リスクは「低い」と数えられますが、低いはゼロではなく、起きたときに対処しやすいという意味でもありません。
どこに打てるのか、どのくらい持つのか
当院のある台湾での承認上の用途は、中顔面・側顔面・下顔面の軟部組織のボリュームを補うことで、真皮深層・皮下・骨膜上に注入するものとされています(許可証 衛部醫器輸字第 038192 號)。承認された添付文書は、眉間、目の周り、唇と唇の周りを注入してはいけない部位として挙げ、表皮や真皮浅層への注入も禁じています。海外の市販後研究で主に注入されたのは頬とフェイスラインです(Gritti ら、2025)。
持続期間について、添付文書は「約12〜18か月」とし、再注入はおおむね1年後としています。140人の市販後前向き研究では、改善した人の割合は1か月目の82.8%から少しずつ下がり、12か月目は65.9%でした(Gritti ら、2025。著者の多くは製造元 AbbVie の社員)。つまり1年の時点で、およそ3人に2人に効果が残っていたことになります。
打たないほうがよいのはどんな人か
承認添付文書の禁忌には、妊娠中・授乳中、18歳未満、成分(リドカインを含む)へのアレルギー、治療部位やその近くの感染・炎症、ケロイドや肥厚性瘢痕ができやすい方、自己免疫疾患、ヘルペス、ステロイドにアレルギーがある、またはステロイドを使えない方などが含まれます。
修復のために来られる方にとって特に大事なのは二つです。添付文書は「異物がある部位への注入」を禁忌としており、さらに、ほかのフィラーの治療をすでに受けた患者での安全性と有効性は評価されていないと明記しています。その部位に以前別のフィラー、とくに永久的なフィラーを入れたことがあるなら、この製品の安全性データがない集団にちょうど当てはまります。
製品名は市場ごとに違う:受診時に「何を打ったか」を正確に伝える
一見すると名前だけの話に見えますが、外来では本当に問題を起こすところなので、一段落を割いて書いておきます。
ハーモニカ(HArmonyCa)は Allergan/AbbVie の製品で、技術はイスラエルの Luminera に由来します。中身は一つの製剤ですが、登録名や通称は市場ごとに違います。たとえば台湾では TFDA が承認した正式名称と市場での通称が別々に流通していて(正式名は「恆緹佳」、通称は「美神針」)、日本で「ハーモニカ」として説明されるものと同じハイブリッド注入剤を指しています。
なぜこれを気にするのか。数か月後にしこりを触れて医師にかかるとき、「何を打ったか」がそのまま対処の理屈を決めるからです。「ヒアルロン酸を入れました」とだけ伝わり、受け手が純粋な HA だと思い込めば、そこから典型的な間違いが始まります——半分はヒアルロン酸ではないものに、ヒアルロン酸用の方法で立ち向かってしまうのです。どこに打ったかを言葉で説明するより、当時の製品名やロット番号がわかるもの、施術記録を持参していただくほうが、はるかに役に立ちます。
位置づけの違いも押さえておくと理解が早くなります。レディエッセは純粋な CaHA、エランセは PCL、スカルプトラは PLLA で、いずれも単一素材のコラーゲン誘導製剤です。ハーモニカはそこに HA を組み合わせた複合であり、だからこそ「半分は溶けるが、半分は溶けない」という、この記事の中心にある性質を持ちます。各市場の製品名と成分の対照はフィラー百科に、この製剤の素材ページは HArmonyCa(HA+CaHA ハイブリッド)にまとめています。
「デュアル作用」のもう一つの顔:しこりのでき方と、過小評価される遅発リスク
まず発表された数字から始めます。リスクの読み方に関わるからです。2024 年に PRS Global Open に発表された後ろ向き研究(PMID 38348461、403 例)では、注入部位の結節はおよそ 1.2〜2.1% で、その多くは非炎症性・注射後 2 か月以内の早発型、材料が一時的に溜まったようなものでした。別の 2024 年の実臨床後ろ向き研究(PMID 39360597、129 例)では結節は 0.8% でした。
安心できそうな数字です。ただ、知っておくべき限界が三つあります。
一つ目。これらの研究はまだ追跡期間が比較的短く、メーカー関連あるいはメーカー資金によるものが少なくありません。これだけ新しい製品では、本当の遅発型結節は数か月から一年以上かけて表れることがあり、今のデータはその尾の部分をまだ捉えきれていません。二つ目。CaHA 系のコラーゲン誘導材料は「クラス全体」のレベルで見ると、遅発性結節は文献にある現象で、目新しいことではありません。だから「今は低く見える」と「長期的に必ず安全」は別の話です。
三つ目。定義が変われば数字も変わります。140人を対象にした2025年の市販後前向き研究は、治療に関連する「注入部位の腫瘤(injection site mass)」を数え、その割合は10.7%、研究終了時にも腫瘤7件が消えていませんでした(PMID 40948024)。論文は「腫瘤」を定義しておらず、「結節」より範囲が広く、注入後しばらく触れる製剤も含む可能性があるため、上の1〜2%とそのまま比べることはできません。それでも、注入後に何かを触れるのは珍しくないということは分かります。承認添付文書も、治療後しばらくは製剤を触れることがあると書いています。
外来で私が診るのは、その 1〜2% の中に入ってしまった方であることが多いのです。統計にとってはまれな一例でも、ご本人にとっては百パーセントです。
「ハーモニカの失敗」とはどんな状態のことか
多くはこのどれかです。触れる、あるいは見える結節やしこり。製剤が本来の場所から動いてしまう(添付文書では migration=移動にあたる語で記載)。左右差。注入からかなりたっても繰り返す赤みや腫れ。添付文書が挙げる頻度の低い有害事象には、ほかに突出、硬結、瘻孔、感染、持続性結節、肉芽腫、そして血管に関わる壊死や失明があります。血管に関わる合併症は緊急事態で、ゆっくりできてくるしこりとは別の問題です。
劉達儒 医師:「部位によっても、問題の現れ方は変わります。あごのように常に動く場所では、ハーモニカのような硬めで形の出る素材は、丸いしこりではなく、尖る、前に妙に突き出る、左右差が出る、という形でトラブルになることがよくあります。そのときの修復の目標は、横顔の比率を平らになめらかに整えることで、全部取ることではありません。」
劉達儒 医師:「確率が低いことは、万一起きたときに取り出しやすいことと同じではありません。」
ハイブリッド材料の「半分しか戻せない」罠:HA は溶けても CaHA は溶けない
ヒアルロニダーゼはハーモニカのヒアルロン酸を溶かしますが、CaHA マイクロスフィアも、それが誘導したコラーゲンも溶かしません。ここが、いちばん覚えていただきたいところです。
世の中の説明の多くは「ハーモニカには HA が入っているから、気に入らなければヒアルロニダーゼ(HA 分解酵素)で溶かせる」と言います。この文は一部しか合っていません。ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸を分解するためにつくられた酵素で、溶かせるのは HA の部分だけです。CaHA のマイクロスフィアはヒアルロン酸ではないので、ヒアルロニダーゼは効きません。そして CaHA の周りにすでに増えたコラーゲンは、酵素が触れられるものからさらに遠い存在です。
つまり、HA の担体を溶かしたあとも、硬い芯はそのまま残っていることが多いのです。
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| ハーモニカの組成 | ヒアルロニダーゼで溶けるか | 溶けたあとに残るもの |
|---|---|---|
| 架橋ヒアルロン酸ゲル(担体・20 mg/mL) | 分解できる | ボリュームは落ちる。ただしこの部分はもともと自然に代謝される |
| CaHA マイクロスフィア(重量比 約 55.7%) | 溶けない | ミネラルの微粒子がその場に残る |
| 誘導されたコラーゲン | 溶けない | 増えた線維組織が残り、しこりの本当の芯はたいていこれ |
劉達儒 医師:「『溶かす注射を打って少し小さくなったけれど、硬いところは残っている』とよく言われます。これは溶かす注射が足りなかったからではありません。溶けたのはヒアルロン酸の半分で、残っているのは CaHA と、それが刺激して増えたコラーゲンです。」
劉達儒 医師:「複合製剤である以上、『ヒアルロン酸が入っている』から『全部溶ける』とは言えません。」
ハイブリッド材料は「戻せる」という錯覚を生みます。戻せるのは HA で、戻せないものこそが本当の問題です。これは単純なレディエッセ(CaHA)の合併症への対処と同じ筋道で、レディエッセの合併症と石灰化したしこりと併せてお読みいただけます。溶解注射がなぜ効かないことが多いのかは、ヒアルロニダーゼが効かない 7 つの理由で詳しく述べています。
なぜ「まずステロイドを」がしばしば良い答えにならないのか
しこりが出ると、よくある最初の一手は、その部位にステロイドを注射して炎症を抑えることです。理屈は通っています。実際には、後悔しやすい判断です。
ステロイドは炎症性の結節なら抑えられるかもしれません。しかし芯がコラーゲン増生であるハーモニカのしこりに対しては、厄介な事実に直面します。ステロイドは組織を萎縮させます。硬い芯を必ずしも縮められないのに、しこりの隣にある正常な脂肪とコラーゲンを先に萎縮させてしまうのです。しかもその作用は進行性で、一度で終わりではありません。中止したあとも、組織はしばらく凹む方向へ進み続けます。
しこりは動かないのに、その隣が凹んでしまった顔を、私は何度も見てきました。もとは膨らみの問題だったのに、膨らみは残ったまま、新しい凹みが加わる。最初より直しにくくなります。
劉達儒 医師:「あの1本は問題を処置したのではなく、問題の隣にある組織を処置してしまったということです。そして萎縮した組織は、後日そのしこりを本当に処置するときに必要になるものです。」
重要なポイント: コラーゲン性のしこりで最も怖いのは「効かない」ことではなく、「隣の正常組織が先に崩れる」ことです。ステロイドを使うなら、量・場所・回数をかなり保守的にし、万一萎縮したときに戻せるのかを先に考えておく必要があります。この点はステロイド注射と組織萎縮のリスクではっきり述べています。
すでにステロイドを勧められているなら、顔全体に急いで打たないでください。小さな範囲でまず試して反応を見るほうが、一度に広い範囲を打つより安全です。もし萎縮の反応だったら、顔全体を一度に打った代償は大きすぎます。
経過観察から低侵襲摘出まで:しこり対処の判断ステップ
すべてのしこりにすぐ手を出す必要はありません。対処には軽いものから重いものへの順番があり、大事なのは今どの段階にいて、いつ次へ進むのかを知ることです。
- 治療する前に、まず分類する。超音波で、このしこりが炎症性か、非炎症性か、すでに形成された線維結節かを見極めます。分類を誤ると、そのあとの道がすべてずれます。
- 早期・軽度・非炎症のものは、まず時間と保守的な経過観察を。早発型の材料の蓄積には自然に落ち着くものもあり、ここは注射で「処理」を始める段階ではありません。
- 大きくなり続ける、あるいは繰り返し炎症するものは、対面の評価のうえで病変内薬剤や穏やかな物理的剥離を使うことがありますが、どの一手も周囲組織への代償を天秤にかけます。
- 安定して頑固で、境界がはっきり触れる線維結節は、超音波ガイド下シングルピンホール物理的摘出が役立つところです。リアルタイム画像のもとでその芯を特定し、CaHA のマイクロスフィアと増えた線維組織を一つの針穴から取り出します。さらに材料を足したり、溶けないものを化学的に追いかけたりするのではなく。
なぜハイブリッドでは物理的摘出がとくに中心になるのか。先に述べたとおり、しこりの本当の芯である CaHA とコラーゲンは、どんな薬でも溶かせないからです。戻せる HA は自然に去り、残るのは「取り出す」しかない部分です。だからこそ私たちは、低侵襲摘出をハイブリッド型コラーゲン誘導製剤のしこりに対する最後の選択肢と位置づけ、最初の一手にはしません。
劉達儒 医師:「摘出の段階で私が気にしているのは、取り出せるかどうかだけでなく、取ったあとに平らかどうかです。硬い芯は、周りに増えた線維とつながっていることが多く、取る量が少なければしこりは残り、多すぎれば隣がへこみます。だからまず超音波で範囲をはっきり見て、多すぎず少なすぎずに取ります。」
放っておくとどうなるか。 早い段階の製剤のたまりは自然に落ち着くことがあり、判断ステップの二段目で時間をおくのはそのためです。CaHA 単体のレディエッセについては、CaHA はおよそ2.5年以内に完全に吸収されるとするレビューがあります(McCarthy ら、2024。著者全員がレディエッセの製造元と金銭的関係あり)。ハーモニカの CaHA が同じ速さかどうかは、まだ研究されていません。大きくなり続ける、炎症を繰り返すしこりは話が別で、上の判断ステップに戻って評価します。なお承認添付文書自体も、有害事象によっては外科的介入(血腫や漿液腫の排液など)が必要になることがあり、炎症や感染が起きた場合はインプラントの除去が必要になると書いています。
摘出後:回復期間と傷あと
シングルピンホールでの摘出後について。針穴は小さくても、行うのは摘出なので、腫れや内出血はどうしても出ます。腫れと内出血はおよそ2〜3週間で引き、約2mmの針穴は約2週間でふさがり、その後は多くの場合ほとんど目立ちません(同じ説明は当院のピンホール抽出術の解説にもあります)。最終的な仕上がりまではおよそ3か月かかり(個人差があります)、取った直後の数週間に見える凹凸は、最終的な姿ではありません。凹みが残るかどうかは、摘出前に範囲を正確に印付けしたか、取るべきものだけを取ったかで決まります。
このコラーゲン誘導製剤のしこり全体の原因と対処の枠組みは、コラーゲン誘導製剤のしこりの解説をご覧ください。
打つ前と、打ったあとにできること
これからハーモニカを検討しているなら。経験があり、超音波で評価してくれる医師を選び、一度にたくさん満たすのではなく、量は保守的に分けて。過剰注入は結節リスクの最大の増幅器で、これはすべてのコラーゲン誘導製剤に当てはまります。
すでに打って、しこりを触れ始めているなら。承認添付文書は、結節が出たら治療部位をマッサージするよう患者に伝えています。これは注入直後に製剤が一時的にたまっている段階に当てはまる話です。しばらくたっても残っている、硬くなってきた、赤くなったという場合は、自分で強くもみ続けず、急いで何かを注射してもらうこともしないでください。いつ・どこに・どのくらいの硬さで・赤みや腫れがあるかを記録し、超音波できちんと見て「このしこりは待つべき、あのしこりは取るべき」と正直に言ってくれる医師に評価してもらいましょう。ハイブリッドのしこりで最悪の間違いは、HA ではない問題に HA 用の方法で立ち向かうことです。
患者さんにはとても率直にお伝えします。ハーモニカは悪い製品ではなく、結節率も本当に高くありません。ただ、もしあなたが少数派になってしまったら、これはハイブリッドだと思い出してください。溶ける半分は問題ではなく、溶けない半分が問題なのです。それをはっきり見て、正しい方法で対処すれば、小さなしこりを凹凸のある顔へと引きずることはありません。
よくあるご質問
ハーモニカとは何ですか?成分には何が入っていますか?
「ハイブリッド型」の注入剤です。担体は架橋ヒアルロン酸ゲル(20 mg/mL)で、その中に CaHA(カルシウムハイドロキシアパタイト、レディエッセの主成分)のマイクロスフィア(直径およそ 25〜45 マイクロメートル)が懸濁し、0.3% のリドカインを含みます。重量比では CaHA マイクロスフィアが約 55.7% を占めます。HA は打った当日から見てわかる充填とリフトを担い、CaHA のマイクロスフィアはその後の数か月をかけてご自身のコラーゲンをゆっくり誘導します。つまりフィラーであると同時にコラーゲン誘導製剤でもあり、この二重の性格こそが、後日しこりができたときに対処を厄介にする理由です——酵素で扱えるのは担体の部分だけだからです。
市場によって呼び名が違いますが、同じ製品ですか?受診時はどう伝えればよいですか?
同じ製品です。Allergan/AbbVie の製剤(技術はイスラエルの Luminera 由来)で、登録名や通称が市場ごとに異なります。たとえば台湾では TFDA の正式名称が「恆緹佳」、市場での通称が「美神針」ですが、指しているものは日本で言うハーモニカと同一です。受診の際は、打ったのがどの製品なのかを正確にお伝えください。できれば製品名やロット番号がわかるもの、施術記録をお持ちいただくと確実です。複合材料と純粋な HA では対処の理屈がまったく違うため、ここを取り違えると方向ごと間違えます。
ハーモニカの副作用にはどのようなものがありますか?
短期に多いのは注射後の腫れ、内出血、圧痛で、多くは一〜二週間で落ち着きます。本当に注意すべきなのは結節としこりです。発表されているデータでの結節率はおよそ 0.8〜2.1%、その多くは注射後 2 か月以内に現れる早発性・非炎症性の結節です。より広い「注入部位の腫瘤」という定義を使った前向き研究では 10.7% でした。ほかに、材料の移動、左右差、局所の繰り返す炎症が起こりえます。最も重篤ですがまれなのは血管閉塞で、これは注入するフィラー全般に共通するリスクであり、この製品に固有のものではありません。しこりが 2〜3 か月以上たってから出てきた場合や、赤みと腫れを繰り返す場合は、遅発反応として真剣に評価すべきで、マッサージだけで済ませてよいものではありません。
ハーモニカのしこりはヒアルロニダーゼで溶かせますか?
溶けるのは HA の担体だけです。ヒアルロニダーゼが効くのはヒアルロン酸に対してだけで、CaHA のマイクロスフィアも、すでに誘導されて増えたコラーゲンも、その対象ではありません。ですから HA の部分を溶かしたあとも、硬い芯はその場に残っていることが多いのです。「溶かしたのに変わらなかった」という声の多くは、ここに理由があります。
しこりはいつ頃出てくることが多いですか?
発表されているデータは、注射後 2 か月以内の早発型に集中しています。ただし CaHA 系のコラーゲンを誘導する材料は、クラス全体のレベルで見れば、遅発性結節が文献に記録されている現象です。そしてハーモニカは発売から日が浅く、長期の尾の部分はまだ十分に表に出ていません。ですから半年以上たってから触れるようになったしこりも、同じように真剣に受け止めるべきで、「研究ではまれと書いてある」からと放置してよいものではありません。
ハーモニカはどこに打てますか?効果はどのくらい持ちますか?
台湾での承認上の用途は、中顔面・側顔面・下顔面の軟部組織のボリュームを補うことで、真皮深層・皮下・骨膜上に注入します。眉間、目の周り、唇と唇の周りは注入してはいけない部位として挙げられています。添付文書の持続期間は約12〜18か月で、140人の前向き研究では改善した人の割合が1か月目の82.8%から12か月目の65.9%に下がりました。
ハーモニカを打たないほうがよいのはどんな人ですか?
承認添付文書の禁忌には、妊娠中・授乳中、18歳未満、成分やリドカインへのアレルギー、注入部位の感染や炎症、ケロイド体質、自己免疫疾患、ヘルペス、異物がある部位への注入などがあります。ほかのフィラーをすでに入れた人では評価されていないとも明記されているため、その部位に以前フィラーを入れたことがあるなら、注入の前に必ず伝えてください。
ハーモニカのしこりを摘出したあと、回復にはどのくらいかかりますか?傷あとは残りますか?
腫れや内出血はどうしても出て、およそ2〜3週間で引きます。約2mmの針穴は約2週間でふさがり、その後は多くの場合ほとんど目立ちません。最終的な仕上がりまではおよそ3か月かかります(個人差があります)。
ハーモニカはレディエッセ、エランセ、スカルプトラと何が違いますか?
レディエッセは純粋な CaHA、エランセは PCL、スカルプトラは PLLA で、いずれも単一素材のコラーゲン誘導製剤です。ハーモニカは、そこにヒアルロン酸を組み合わせた複合という点が違います。分かれ目は担体と可逆性です。ハーモニカでヒアルロニダーゼが扱えるのは HA の半分だけで、残った部分への対処の理屈は、むしろ純粋なレディエッセに近づきます。
参考文献
- 台湾衛生福利部食品薬物管理署。恆緹佳臉部植入物(含利多卡因)(HArmonyCa Lidocaine)、衛部醫器輸字第 038192 號、承認中文添付文書。
- Braz A, Colucci L, Macedo de Oliveira L, et al. A Retrospective Analysis of Safety in Participants Treated with a Hybrid Hyaluronic Acid and Calcium Hydroxyapatite Filler. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2024;12(2):e5622. PMID: 38348461.
- Proietti I, Spagnoli A, Favaroni A, et al. HArmonyCa hybrid filler to restore connective tissue: An Italian real-life retrospective study. J Cosmet Dermatol. 2024;23(12):3883–3892. PMID: 39360597.
- Gritti A, Salomon M, Elmaleh L, et al. A Prospective, Open-Label, Post Marketing Study of the Safety and Effectiveness of a Hyaluronic Acid and Calcium Hydroxyapatite Hybrid Injectable. J Cosmet Dermatol. 2025;24(9):e70430. PMID: 40948024.(140例、12か月追跡。著者の多くは AbbVie 社員)
- McCarthy AD, van Loghem J, Martinez KA, et al. A Structured Approach for Treating Calcium Hydroxylapatite Focal Accumulations. Aesthet Surg J. 2024;44(8):869–879. PMID: 38366791.(CaHA 単体のみ。著者全員が Merz と金銭的関係あり)
触れて不確かなしこりがある、あるいは処置を受けたが結果が良くなかった方は、劉達儒 医師の診察へお越しください。まず超音波で確かめてから、次の一歩を一緒に決めましょう。






