症例シナリオ
彼女は頬のしこりが消えるのをずっと待っていました。ステロイド注射を3回、5-FU(5-Fluorouracil、5-フルオロウラシル)を2回——それでも硬い塊は消えませんでした。1年以上の苦悩を経て、FILLER REVISIONの超音波評価を受けたとき、初めて「溶かせないものは、取り出すしかない」という現実と向き合うことができました。
患者背景:中年女性。頬の陥凹改善を目的に、約2年前にある美容クリニックでエランセ(Ellansé)注入を受けました。注入後約6ヶ月で注入部位にしこりを触知するようになり、時間とともに増大し目立つようになりました。
受診経過:
- 元のクリニックに戻ったところ「正常なコラーゲン増生で自然に消える」と説明
- 6ヶ月待つもしこりは消えず、再受診
- ステロイド局所注射を3回受けたが、やや軟化したものの体積は明らかに縮小せず
- 5-FU注射を2回試みたが効果は限定的
- ネット検索で超音波ガイド下微創摘出の情報を発見
来院時の状態:
- 両側頬に各1〜2箇所の触知可能なしこり
- しこり表面の皮膚がわずかに隆起し、特定の角度で視認可能
- 触感は硬く、圧痛なし
- 約1年間の保存的治療で効果は限定的
深度分析
問題の根本原因分析
← スワイプで続きを表示 →
| 分析面 | 所見 |
|---|---|
| 素材特性 | エランセはCMC(Carboxymethyl Cellulose、カルボキシメチルセルロース)ゲル中にPCL(Polycaprolactone、長期型コラーゲン誘導剤、エランセ主成分)微球を懸濁したもの。PCLは酵素で溶解不可 |
| 結節の成因 | PCL微球周囲の線維性被膜反応と過剰なコラーゲン増生 |
| 保存的治療失敗の理由 | ステロイドは線維組織を軟化させるがPCL微球は除去不可。5-FUはPCL誘導性コラーゲンへの効果が限定的 |
| 超音波所見 | 皮下脂肪層内に複数の中〜高エコー結節、不規則な境界、周囲に線維化帯 |
| 血管評価 | 結節は主要血管から安全な距離 |
重要ポイント: FILLER REVISIONの臨床経験では、エランセ結節はヒアルロン酸結節とは本質的に異なります。「溶かす」ことはできず、保存的なステロイドや5-FU治療は周囲組織を軟化させるのみで核心のPCL微球は除去できません。保存的治療が1年以上効果を示さない場合、物理的摘出が合理的な次のステップです。
関連記事:エランセは摘出できるのか?
医師の観点
劉達儒 医師の評価後の分析:
「この患者さまの状況はエランセ合併症の典型例です。超音波検査で複数の結節が明瞭に確認でき、各8〜15mm大で顕著な線維組織に包まれていました。良い点は、結節が皮下脂肪層の中程度の深さにあり、近接する重要血管がなく、技術的に微創アプローチが可能なことです。
注意すべきは、結節が1年以上存在し複数回のステロイド注射を経ているため、周囲の線維化がかなり緻密であることです。摘出時にはフィラーと組織の境界をより慎重に剥離する必要がありました。目標はPCL微球とその反応組織を可能な限り完全に摘出し、正常な皮下脂肪を温存することです。」
治療計画と過程
術前計画
← スワイプで続きを表示 →
| 計画項目 | 内容 |
|---|---|
| 超音波マーキング | すべての結節の位置・大きさ・深度をマーク |
| 血管マッピング | 顔面動脈・静脈の走行を確認 |
| 入口選択 | 各結節に最も近く目立たない微小入口を選択 |
| 手術順序 | 浅く容易な結節から着手し、深い結節へ進む |
手術過程
- 局所麻酔:超音波ガイド下で精密な局所浸潤麻酔
- 微小入口:1〜2mmのピンホールを操作入口として使用
- 超音波ガイド下定位:リアルタイム画像で器械が目標結節に到達したことを確認
- 剥離と摘出:結節と周囲線維組織の境界を慎重に剥離し、段階的に摘出
- リアルタイム確認:各結節摘出後に即座に超音波スキャン
- 残存評価:完了後の包括的スキャンで有意な残存がないことを確認
摘出物の観察
摘出組織は白色〜灰白色の硬い塊で、断面にPCL微球顆粒が線維組織に包まれた状態が確認され、術前超音波所見と一致しました。
患者さまへの重要事項
術後回復
← スワイプで続きを表示 →
| 時期 | 予想される状態 |
|---|---|
| 術後直後 | 手術部位の軽度の腫れと紫斑 |
| 術後1〜3日 | 腫れのピーク、徐々に退き始める |
| 術後1週間 | 腫れの大部分が消退、紫斑が薄くなり始める |
| 術後2週間 | 外見の明らかな改善、しこり消失 |
| 術後1ヶ月 | 組織が引き続き軟化・回復中 |
| 術後3ヶ月 | 最終結果が徐々に安定 |
重要な注意点
- 術後の腫れは正常な反応であり、手術の失敗を意味しません
- 紫斑は1〜2週間持続する可能性があり、メイクで隠せます
- 手術部位の一時的な触覚変化は通常数週間で回復します
- 摘出後の凹みは腫れが退いてから追加処置の必要性を評価します
- 完全な回復には2〜3ヶ月かかります
重要ポイント: エランセ結節の摘出は単純なHA(Hyaluronic Acid、ヒアルロン酸)溶解とは異なり、物理的操作が必要なため回復期間が長くなります。しかし、結節との共存を続けるか効果が限定的な保存的治療を継続するより、微創摘出はより確実な解決経路を提供します。
本症例の臨床的示唆
- エランセ結節にはタイムリーで正確な評価が必要——保存的治療の長期待機は線維化を悪化させる可能性
- 超音波は評価と摘出の基盤——触診では結節の数・大きさ・深度を正確に判定できない
- 微創摘出は実行可能な選択肢——大きな切開手術は不要
- 期待管理が重要——回復には時間が必要で、最終結果は即座には現れない
FILLER REVISIONケースノート
本症例はFILLER REVISIONが多く対応するエランセ結節の典型的なパターンです。患者さまは他院で長期にわたる保存的治療を受けましたが、PCL微球という物質の特性上、薬剤では根本的な除去ができません。当院では超音波による精密な術前評価で結節の数・大きさ・深度・血管との位置関係を三次元的に把握し、微創アプローチで正常組織を最大限に温存しながら摘出を行います。この「見える化してから取る」というプロセスが、FILLER REVISIONの治療精度を支えています。
同様のエランセ合併症をお持ちの方は、FILLER REVISIONのカウンセリングをご予約ください。超音波評価で現状を正確に把握することが、最適な治療への第一歩です。
関連記事:フィラーしこり摘出技術
よくあるご質問
エランセのしこりにステロイドや5-FUを打ったのに消えません。なぜ効かなかったのですか?
エランセはPCL(ポリカプロラクトン)微球でできており、酵素で溶解することはできません。ステロイドや5-FUは周囲の線維組織を軟化させることはできますが、核心のPCL微球は除去できないため、しこりは残ります。これは溶解できるヒアルロン酸結節とは本質的に異なります。保存的治療が約1年以上効果を示さない場合、物理的摘出が合理的な次のステップとなります。
エランセ結節の摘出には大きな切開手術が必要ですか?
いいえ。この症例では、結節は大きな切開ではなく、超音波ガイド下で1〜2mmのピンホール入口から摘出しました。超音波がリアルタイム画像を提供するため、器械を各結節に導き、正常な皮下脂肪を温存しながらフィラーを周囲組織から分離できます。微創摘出は大きな切開手術を回避できる実行可能な選択肢です。
エランセ微創摘出後、回復にはどのくらいかかり、いつ改善が見られますか?
エランセ微創摘出後の完全な回復には一般に2〜3ヶ月かかり、最終結果は徐々に安定します。目に見える改善の大部分は2週目頃に現れ、その時点で腫れの大部分が消退ししこりも消えています。この治療は単純な溶解ではなく物理的操作を伴うため、回復期間はヒアルロン酸より長くなります。最初の1〜2週間に腫れや紫斑が出るのは正常で、手術の失敗を意味しません。
しこりが1年以上あります。さらに待つと摘出は難しくなりますか?
はい、待つことで手技がより難しくなることがあります。結節が1年以上存在し複数回のステロイド注射を経ていたため、周囲の線維化がかなり緻密で、フィラーと組織の境界を剥離するのにより慎重さが必要でした。長期の保存的治療は線維化密度を増加させる傾向があるため、早期に超音波評価へ紹介を受けることで手技の難易度を下げ、治療成績を改善できます。
なぜ手で触って判断するのではなく超音波を使うのですか?
触診だけでは結節の数・大きさ・深度を正確に判定できないため、超音波が不可欠です。超音波はすべての段階で使用されます:術前の結節の位置・大きさ・深度のマッピング、主要血管から安全な距離を保つための血管マッピング、摘出中のリアルタイムガイダンス、そして有意な残存がないことを確認する術後スキャンです。これにより医師は線維組織とPCLの核を区別し、健康な脂肪を温存しながら確実に摘出できます。
しこりを取った場所が凹んでしまったらどうしますか?
摘出後の凹みは通常、腫れが退いてから評価し、追加処置が必要かどうかを正確に判断します。摘出時の目標はPCL微球と反応組織を可能な限り完全に摘出しつつ正常な皮下脂肪を温存することで、これが凹みのリスク軽減に役立ちます。ご自身の状態について具体的な懸念がある場合は、個別のカウンセリングで評価するのが最適です。





